Blog

Prev | Top | Next

「気分一致」 第九回:おたくの愛

2003/08/24
人生・本そのほか
日本語パワーアップサイト ATOK.com
メールマガジン 『日本語のチカラ』 連載
「気分一致」 第九回 2003/7/23




 手広いことに・・・私は今アニメの仕事もしております。そこで新しく出会う言葉は、なかなか興味深いので今回はこれをテーマにしましょう。

 現在、これほどの商品やコンテンツが満ちあふれ、インターネットであらゆる情報が手に入る社会の中にいると、自分に何らかの「オタク」的感性があったり、そういう友人を持っていないと、いいライフスタイルを維持するのは難しいと思います。いわば真っ当なオタクの見識眼が期待される時代といえましょう。
 オタクは、従来であれば他者に向けられたであろう「愛」を、自分の所有物や架空のキャラクターに仮託しています。その自己満足的な愛を表現する独自用語で私が面白いと思ったものをいくつかご紹介します。

1)愛
 同人誌の世界では作者のオリジナル以外に、アマチュアファンが同人誌などでそのパロディを作ったりすることがよくあります。これは、基本的には著作権違反行為です。しかし、それがおたくファンとして許されるかどうかは、キャラクターや原作への「愛」の有無に左右される、とされています。したがってこの「愛」は、著作権違反に対する微妙な言い訳として、独特な意味を持つにいたっています。

2)萌え
 ある好きなキャラや人物、ものに深い愛情を抱くこと。この言葉は約10年をかけて、おたく用語を代表するメジャーな言葉に成長してきました。1993年から94年にかけて放映されたNHK教育テレビ 「天才てれびくん」内のアニメ「恐竜惑星」に登場するヒロイン「鷺沢萌」、「美少女戦士セーラームーン」のセーラーサターン・土萠ほたる等が語源、という説が有力です。
 古く万葉集には志貴皇子の和歌に「石走る垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」という和歌もあり、由緒正しい言葉が現代に見事によみがえった・・・ということでしょうか。ちなみにこの萌えの反対語に「萎え」があります。

2)殺傷力
 これは「萌え」よりにやや近く、はるかにマイナーな用語です。キャラやシチュエーションが自分の欲求するもの、好みであり引き込まれるときに、「このキャラは『殺傷力』が高い」などというように使います。ポジティブな用語です。

3)属性
 自分が好きなキャラやアニメの特徴、つまり愛の嗜好を表現するときに使います。「私、黒髪真ん中分け属性」=黒髪真ん中分けのキャラが好きという意味です。オタクのフェティッシュな物神感覚がよく出ている表現ですね。

4)ツボ
 萌えのポイントをつく特徴。「あのキャラのツボは鎖骨と胸板〜☆」(笑)といった感じです。

5)信者
 愛が昂進して信仰的状態になると、ある作家やキャラクターのものだったらなんでもいい、と自己判断が停止する状況が生まれます。特定作品を全て買い、不満を言わずに全てを認めるような人は信者と呼ばれ、必ずしも歓迎されません。

 私ですか?「ブランド萌え」なのか「ブランド萎え」なのか微妙なところですが、決してブランド信者ではありません。

TrackbackURL

http://www.nozomu.net/cgi-bin/cms/mt-tb.cgi/135

PostCommnet

サイン・インを確認しました、.さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)

(いままで、ここでコメントしたとがない場合はコメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になる場合がございます。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらくお待ち下さい。)


情報を登録しますか?



Warning: include_once(): http:// wrapper is disabled in the server configuration by allow_url_include=0 in /home/users/2/nzm/web/nozomu.net/journal/000135.php on line 260

Warning: include_once(http://www.nozomu.net/journal/side_category.html): failed to open stream: no suitable wrapper could be found in /home/users/2/nzm/web/nozomu.net/journal/000135.php on line 260

Warning: include_once(): Failed opening 'http://www.nozomu.net/journal/side_category.html' for inclusion (include_path='.:/usr/local/php/7.4/lib/php') in /home/users/2/nzm/web/nozomu.net/journal/000135.php on line 260