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「気分一致」 第四回:いいか悪いか別にして、ここだけの話

2003/08/24
人生・本そのほか
日本語パワーアップサイト ATOK.com
メールマガジン 『日本語のチカラ』 連載
「気分一致」 第四回 2003/4/15




 私が長年いた広告業界には「怪しい業界用語」なるものがあった。あらゆる業界で、専門用語を自然に話せるかどうかで、「インサイダー」か否かが決まる。なかでも広告業界の用語が、怪しさがちょっと際だっているように見えるのは、意見表明や人間関係のニュアンスに関わる言葉が多いからである(そのためか、Web上には「怪しい広告業界用語辞典」などという名作集のWebページが存在し、人気を博しているようである)。

 広告業界でよく使われる用語の例をあげよう。
 「逆に言うと」
 「基本的にはOK」
 「変な話」
 「いいか悪いか別にして」
 「ここだけの話」・・・。

 自分の意見について「偶然」というニュアンスを出したり、他人の意見に真っ向から対立してはいないと見せかけておいて、なおかつ異なった意見を主張する用語が多い。

 思うに、広告というのは「いかにばかばかしい珍奇なアイデアで話をまとめるか」ということに大の大人が、大勢で関わっている産業である。莫大な広告費を投入したキャンペーンが最後の瞬間、クライアントの独断でひっくり返る可能性が、つねにある。そうなったら、それぞれが強烈な自己主張をしながらも、直前までの自分の意見と正反対の意見ですべてを集約しなければならない。そんなことが・・・よくある。要するに意見の一貫性を保ち続けることが、非常に困難な業界である。
 そんな中で業界人は、キャンペーンごとに自らの豹変を経験しながら、同時に長年信頼できる関係というものを築いていかなければならない。

 先に挙げた広告業界用語は、滑稽さや、素っ頓狂さを醸しだしつつ、変な話、人間関係の潤滑油の役割を果たしていたように思う。
 いいか悪いか別にして、こうした関係が、日本全体に広がっているために、広告業界用語が世の中に表出しているのかもしれない。
ここだけの話であるが・・・。

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