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サッカーで国民をつくる

2001/03/19
歴史と社会

日本という島国は海で外界と隔てられ、まがりなりにも全土で日本語が通用します。そうすると、わざわざ国をつくらなければならない、という意味はよくわかりませんよね?
でも僕たちの歴史はずうっと、「国つくり」の話として読むことが可能なのです。もともとは言語もよく通じないような様々な人種のるつぼが、結局日本という国民国家をつくったのですが、その苦労は、今日私たちの意識にあまりのぼりません。
ヨーロッパでは、国境によって隣国とつながっていますから、国をつくるというのは大変な事であり、また常に意識して努力しなければならない、そしてそしてそれは今も未来も必要なことなのです。(・・・日本も本当は国を作るということにもっと頭をつかわないとヤバイ国になっちまいそうですけどね)

むかしは生活の範囲がせまいですから、日本では藩ぐらいの数万から数十万ぐらいの単位が生活空間だったのです。ドイツなどはつい先ほどまで・・・・(明治維新のちょっとまえぐらいまで)、ビスマルクという人が統一するまでは300ぐらいの諸侯が集まっていただけだったのです。
フランスはフランス革命がおきて、ナポレオンが登場し、国民国家というものを最初に打ち立てた国です。それでも19世紀ぐらいまではフランスの中でもフランス語をしゃべれない人が相当残っていたようです。
国の基礎は言葉です。だから国語の制定と国民教育が、国家の最重要基盤です。後はもちろん軍隊と、全国交通・通信・メディア。
だって他の国にはすぐにいけるが首都にいくのがむずかしい場所とか、他の国のテレビは見えるが自分の国のテレビは見えない地方なんてありえないじゃないですか・・・

国を通じて私たちは私たちの先祖や子孫たち、つまり歴史と未来を仮託することができます。
先祖の誇りのため、そして子孫の繁栄のために殉じる。国家はかんたんにいうとこういう心理的なメカニズムをつくりだすことにより、一種の宗教となることができたのです。(だから戦争に徴集兵を連れて行けるようになったのです)

私の会社の顧問に、ギ・ソルマンという人がいます。ジャーナリスト兼学者兼ビジネスマン兼政治家(市助役)なんですが、彼が面白い事を行っていました。
「ムッシューヨシダ、フランスはずうっと努力して国を造ってきたのです。宮廷、フランス語、フランス文化、フランス映画、ドゴール、社会保障、移民政策。でもお金がなくなってしまった。いまどうやって国を造っているかご存知か?」
「知りません。教えてください。」
「それはサッカーです。フランスはナショナルチームを強くするため国家的なトレーニングセンターシステムを作り上げました。みなさい、フランスチームの70%は移民です。失業したフランス語がしゃべれない移民たちがフランスにはたくさんいるのです。彼らを国民にしなければなりません。それで私たちはサッカーを強くする事にしたのです。フランスワールドカップを見てください。私たちは世界ナンバーワンになったんですよ。ドイツをみてください。ナショナルチームのほとんどはゲルマン人です。それで・・・ベスト8どまりぐらいにしかなれないチームになっちゃったでしょ?」

2002年ワールドカップ。
さて僕らのナショナルチームが僕らを「国民」にしてくれるよう祈ろうじゃないですか!

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