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不詳の家出息子をお許しください

2000/09/01
人生・本そのほか

これは退社時に社長に書いた手紙です。辞める瞬間、社長に対しては大きな心の痛みが走りました。彼の家父長意識に無意識に心が激しく反応してしまったのです。
「親父、俺は大きくなって見せる!」家出息子の心境でしゃにむに家を飛び出しました。

成田社長殿

 過去電通のおびただしい退職未遂者の列伝を見ますと、社を辞めることは、なみたいていの気持ちではおこなえません。また、退社までに長い準備時間をかけますと、かならず会社の処遇と人情と組織の柔軟性に、回収されることになります。
 したがって私は7月頭に決心をし、8月頭に退社の公言をはじめ、そして9月末の退社と、極めて短期にこれをすすめることにいたしました。
 ただし、その弊害がありました。それなりの若さ、愛社心を持ちながらの死に物狂いの脱出ですので、ある種鬼畜となり、自分のなかの友愛としてあらわれる愛社心を打ちすえ、また臆病、怠惰、無気力、小心を呪い殺さねばなりませんでした。
 それはこれまで親しかった方、また、温情をかけていただいた方の同じく、友愛的な愛社心、臆病、怠惰、無気力、小心をまるで「機関銃」で打ちまくりながらの退社、ということになってしまいました。激烈なやりとりが、数回ありました。
 最後10月に入って退社のお許しをいただくまでの間、はっきり言いまして私は狂気のなかにおりました。辞める覚悟をしたうえで、なおかつ給与をいただいているあいだはいい社員であろう、というかたくな意地は、いくらなんでも不自然、不遜の極みだったかもしれません。
 そのことへの反省はもちろんあるのですが、しかし、冷静に考えてみて、そのくらいの覚悟がなければ出られないぐらいに偉大で求心力のある会社であると思います。
 電通を辞めるくらいわがままな自分が、他の会社でつとまるわけもなく、自分自身に仕えるほどの高慢さでもって、新たな起業にチャレンジすることにいたしました。
 この20年間に学ばせていただいた事は、数限りなく、私は「電通大学」の(自称)優等生として、他企業の退職者、リクルート、ソニーのそれにまったく劣ることなく、それ以上の活躍をし、電通の名を高める気概をもってこの起業に臨む覚悟です。

 私のもうひとつ確信しておりますことは、ビジネス ツー ビジネス企業における重要なイノベーション(創造)は、会社の中核にあるのではなく、その周辺にあるのだ、という点です。
 今回私が社の中核の座から、みずからのぞんでその周辺に出むいた理由はそこにあります。
 ただし、私なりの視野の中での「周辺」は、これまでの伝統的からは奈落の部外にみえたことでしょう。今回のわたしに対する激しい反発は、その点に起因していると考えます。
 しかし私には確信があります。
 いま、時代は大きく動き、商法改正がすすみ、私の落ち着く周辺は、長い目で見て電通にとっての重要な周辺になると考えています。
 電通人は機を見るに敏、ですから、今でこそ私が覚悟しなければならない激しい反発も、時代の流れの中で数年のうちにしだいにおさまってくると、私なりにですが、楽観をしています。

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