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アナログ放送を停止するとNHK、全民放、主要広告会社は倒産するだろう・・・

2007/02/25
メディア社会

野村総研が1年ほど前に2011年までの、デジタル放送の世帯普及率を予測しています。(2005年12月)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0512/07/news087.html
2006年度 883万世帯
2007年度 1490万世帯
2008年度 2214万世帯
2009年度 2883万世帯
2010年度 3512万世帯
2011年度 4052万世帯

日本全体では、5000万世帯ぐらいあるので、2011年度には19%、約1000万世帯がアナログ放送を見れないという予測です。このような予測があることが大事で、現状(今年)と2011年までの比較が可能になります。

(が、まずこの予測は相当楽観的だと思います。2007年度で約1500万世帯がすでにデジタル放送を見ている、という設定になっていますが、これはこの半分にすら到達しないと思います(地デジテレビを買っている人は多いが地デジ放送をみていない人が多いのは前回指摘のとおり)したがって、この最終数字も私は、19%ではなく、30-35%に昇ると予想します。)

本来国や業界がこのような予測を行って、これが「このような方法により例えば3パーセント以内になるので、そのわずかな差を国家補助にする、しない」という話を国民に相談しながらすべき話のように思います。それを国や業界は、デジタルテレビの普及台数の話ばかりせず(今大型液晶テレビが売れているからこれは結構景気がいい数字になる)、毎年度の普及目的世帯数、そして現実の視聴世帯数の話をしません。
その差を今デコーダー購入によって税金投入するという話が出ていますが、一世帯あたり、アンテナ工事費を含めて数万円がかかるとしたときに、1000万世帯であれば、数千億、2000万世帯ならば一兆円もの納税者負担になってしまいます。こうした税金投入を私たち納税者は聞かされたり了解しているのか?という問題が生じます。
地デジを推進してきたのが、国なのか、放送局なのか、産業界なのか。
もたれあいの構造が、問題の所存を不明確、曖昧にしてきた元凶かもしれません。

またこのアンテナ工事を進めるのに数年の電気工事の積滞が起こることは間違いありません。
この間放送局がどのくらいの経営ダメージを受けるのか。
例えばNHKの場合、2011年度で、年間25-30%程度の契約者減=減収が予想されます。
民放の場合、この影響はもっと大きいです。というのは、民放は個人視聴率化、サブテレビによる視聴(率)が現在過半を占めているからです。
ワンセグ受信、その他地デジチューナーなどで、サブテレビの30%が地デジ対応になったとしても、視聴率的には50%×70%+50%×30%=50%!
つまり民放局の収入は半減する、可能性があります。
広告主がその分、広告費のアップを認めるか。私はまったくそれは不可能と思います。

(注:この点について質問があったので、一部訂正・補強します。現在テレビ広告費には番組広告とスポット広告があり、視聴率に直結しているのは後者のほうです。前者は数年のスパンで結局視聴率と連動するといってもいいと思います。金額的にはスポット広告が50%以上あります。
広告費の水準はテレビ媒体が売り手市場(満杯)か、買い手市場(あきがある)によって大きく変わってきますが、昨今では買い手市場化(景気がいいのに満稿にならない状況)が進んでいます。(除くこの3月期)
この状況は一部ネット広告の進展による代替にその原因があると考えられ始めています。今後もその傾向が続くと、買い手同士の競合が起こりにくいので、平均視聴率とスポット価格はほぼ連動することになるのでではないかと思います。)

そして2011年から数年かけて、元通りの契約者数、視聴率に戻るのか。
私はそう思いません。この30%の視聴不能世帯や個人の半分は戻ったとしても、残りはテレビを捨てるでしょう。
こうした影響を受けたとすれば、現在相当高い放送局の社員給与を半減したとしても、会社経営はまったく不可能と思います。

そして電通や博報堂、ADKなどの広告会社はテレビ局からの利益が、約65%-70%にのぼっています。
テレビから離れた広告費はネットに一部は流れたとしても、30%以上の減収(利益)になることは間違いありません。大手広告会社のビジネスモデルは確実に崩壊してしまうでしょう。
これはNHKや民放、広告会社の社員の給与が高いことに怒った官僚の陰謀なのか?
とさえ思えるシナリオです。

今後の想定としては。どっちかだと思います。
1)庶民がこれは業界が大変、可愛そうだと気がついて、地デジの研究を始め啓蒙が進み、画期的に普及が進んできて上記のシナリオを覆す!屋根に登ってUHFアンテナをつける地デジ英雄が大量に出現。(業界の願望シナリオ?)放送、広告業界を破綻から唯一救えるのは、官僚ではなく庶民にほかなりません。

2)2008年頃にこの問題がこじんまりとした注目を集め・・・・(nozomu.net流シニカルなシナリオ)
2009年ごろ「2011年度のアナログ放送停止は二年延期とする、二年後の普及を見てその時点で停波するかどうかを決める。」という省令がさらっとぽそっとでる。その際、日本共産党(だけ)が鬼の首でもとったように大きな顔をする。
そのときにはこれまでの推進責任者は(政治家も)全員いなくなっている。
(ちなみにこれらは私の記憶では片山虎之助参議院議員が総務省大臣のときに大きく進んだ話です。)
国民も地デジのことは相当忘れているが、その後2020-30年ごろ中国で地デジ化が進み、中国で小型テレビのデジタル版が安くなり、日本もほぼ全体的に地デジになってくる。2035年アナログ波停止。(私の死後10年後のことである)

そういえば日本という国は。
言論広告が勇猛躍起になればなるほど、あるときにがたんと世の中が正反対に転覆して何の不思議もない。
(尊皇攘夷のときも、鬼畜米英のときも全部同じだったような・・・・)

アナログ放送停止で発生する大量の地デジ難民

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