ブランドを殺す国・中国 その1 |
2006/09/01 ブランドと経営 |
この項、随時書き足していきます。
私の歴史的関心のひとつに、中国で世界に通用する企業・商品ブランドが今後誕生するのか?
という疑問があります。
長子相続制を採用せず、均等相続制が続いた中国社会は相続をめぐる争いが絶えません。
その社会は砂で作った城にたとえられます。(フランシス・フクヤマ)
積み重ねは瓦礫のように崩れ落ち、混乱と開花の歴史が繰り返します。
ですから中国史は、記憶するのが困難なほどに同じようなエピソードと展開が再現されています。
日本や西欧では、この種の歴史の再現性はほとんど観察されません。
この歴史(の繰り返し)は今後も繰り返すのか。「そうだ」と断言する人がいる一方で。
もしかしたら資本主義や市場制度の導入は、
後戻り不可能・不可逆な歴史の変化を中国に与えているのかも知れず、
21世紀以降の中国史はこれまでとは異なる、という意見があります。
中国のブランドを論じる点で、重要な論点があります。
中国は一方で燦然たる歴史ブランドの宝庫でもあります。
個人として歴史に残ることが中国における最大の成功体験であり、
個人として歴史を変えたHERO達が、中国史には満ちあふれています。
項羽と劉邦を見よ。あるいは諸葛孔明とか。
中国における「暗殺者」も、歴史に残る大人物の系譜をなしています。
しかし日本や西欧と異なり、
「個人ではない永続的な組織がブランドになった現象」を、中国史に見つけることは難しいようです。
ブランドを作るためには、ある程度の年月と規模にわたり、
「同じ方向の努力や志を結集する社会組織」の持続が必要不可欠です。
しいていえば科挙・官僚制度(のみ)が中国随一の永続組織ですが、
官僚制度はイノベーション能力に欠けるため、産業社会のブランドを作ることはできません。
それ以外のイノベーティブな組織ブランドは、あったとしても、
どちらかというと梁山泊のような「悪」のブランドであったり、
「客家」のような秘密結社であったり・・・・
地方の県や軍閥、などは(日本企業の前身となった藩とは大きく異なり)、
今日の国営企業の元祖ではありますが、ブランド化あるいは「ブランドをつくる母体化」はしていません。
(このあたり中国人の反論があったとしたら是非お聞きしたいところです)
一方、中国人はブランドにものすごく弱い側面があります。
(これは日本人も言えた義理ではありませんが。)
一般に国際比較をすると「宗教心」のあるなしと「幸福度」は反比例します。
この幸福度は単純に「あなたは幸せと感じますか?」という質問にイエスと答える人の数です。
たとえば、アメリカやアイルランドは宗教心があり、幸福度も高い。
日本や中国は宗教心が低く、幸福度が低い国です。(もし正直に調べたら北朝鮮が最悪だと思われ)
この種の国が経済的に富んだとき、その国民は激烈に「消費ブランド」を志向します。
東アジアの儒教社会は、まさにそうした国々(台湾や韓国を含む)を作り出しているように思われます。
このような消費者が数億人いて、自国に満足のいくブランドがない状態。
このような状況にプライドの高い中国人が長く耐えられるとは思えません。
ですから今後中国が資本主義化を進化させるときに、いかに自国ブランドを作るか。
それを世界に通用させるのか。
これらが今日の、中国産業社会の根源をなす焦眉のテーマになるでしょう。
ご参考:中国、世界に通用する「民族ブランド」確立の動き(sankei web 2006年8月26日。)
www.sankei.co.jp/news/060826/kei092.htm
・・・・「国家と民族の利益を守り民族ブランドを世界に向け発進させよう」(中国紙)との動きが出ている。中には抗日戦争勝利の8月15日に合わせた「V(勝利)815」を共通マークに運動を展開する動きもある・・・・中国では日米欧の国際的ブランドに対抗して、中国製品の競争力を高めたいとの意識が根強くある。・・・・5月には「中関村自主ブランド発展協会」が発足。「自主革新し、国に報いる」とのスローガンで団結し、ブランド製品を確立しようというねらいだ。中国青年報は「民族精神で民族ブランドを打ち立てる」と強調した。中国メディアによると、コンピューター関連の曙光集団の歴軍総裁は、「外国人は軍艦に乗ってやってくるのでなく、ブランドで中国に『進軍』してきている。われわれが民族ブランドを作らなければ、次世代の中国は海外ブランドに飲み込まれるだろう。今こそ反撃の時だ」と指摘。別の企業家も「30年以内に中国で必ず世界的に知名度のある企業が生まれる」と強調したという。
PostCommnet
サイン・インを確認しました、.さん。コメントしてください。 (サイン・アウト)
(いままで、ここでコメントしたとがない場合はコメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になる場合がございます。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらくお待ち下さい。)Comment
いつも拝見させていただいています。
このエントリは若干、句読点の位置("一方で。" "ことなり。")や誤字(HIRO達)が気になります。
このコメントは本エントリの内容についての所信ではありませんので、確認後削除していただけたら幸いです。
現在次の執筆を考えており、メモがわりにかいてしまいました。
ご指摘ありがとうございます。励みになりますので厳しくご指導ください。