海外から見ているライブドア事件 |
2006/01/20 ライブドア |
今海外出張中で、海外よりライブドア事件を眺めています。
この事件については、そもそもからライブドアの脱法体質という問題がありました。
そして企業トップによるクローズドな経営のため秘密が隠蔽される仕組みが温存されていました。すべての企業は、秘密が許されれば、必ず、悪をなします。一度過ちが見過ごされ隠蔽に成功すれば、必ずより大きな犯罪へのチャレンジが始まります。これが企業の宿命です。自分で完全にルールを守ることができるのは「神」だけです。
ニッポン放送の買収後、本件が大きな社会問題となった最大の原因の一つは、堀江氏が主要幹部が応援演説を行うなど自民党の事実上の支援を受け、さらに自民党と選挙協力を行う公明党の支援を受け、広島六区から立候補したことです。(これは巨悪化すれば犯罪も免れるという堀江氏の誇大妄想的な戦略の一つであった可能性もある思います。)
立候補前に警察は、すでに密告その他の情報から、ライブドアの違法性に気がついていた可能性が大きいと思います。
しかし選挙の最中であり、さらには与党の趨勢に大きな影響を及ぼす可能性があれば、これは政治問題でありその時点での立件はあきらめざるを得ません。立候補のことがある程度風化した後でなければ、立件は難しかったことでしょう。
もし当選していたら・・・・その光景は想像するだにまことに寒気がいたします。
(一言武部幹事長を弁護すれば、堀江氏が自民党から出馬しなかったのは当選後もライブドア社長を続けると主張したためでー社長を辞めれば隠蔽した事が明るみに出るため、やめようもなかったことでしょうー執行部は自党からの出馬を認めませんでした。)
しかしその選挙騒動の後ライブドアの時価総額は上昇し、ライブドア事件による被害も巨大化することになりました。
当時の自民党執行部はこの判断の誤りに対して、深く陳謝反省をすべきではないかと思います。なぜなら政治家は結果責任を取るべき立場だからです。
そして言論についても思うことがあります。
問題が明らかになる前にライブドアについて課題を指摘するのは勇気がいることでもありました。名誉毀損の恐れもあります。確かな証拠を持っているのか、といわれれば司法当局以外には無理でしょう。傍証と勘、なによりも企業姿勢そのものへの疑念以外には異議申し立てが難かったのです。
そして。ライブドアはニッポン放送買収に成功し、金融庁のお墨付きを得て、さらにより大きな、ほぼ無限大の成功を収めるようにみえました。成功や金銭は、社会からは、「あれやこれやあっても結果正しかった」証拠とみなされるのが、世というもの。成功の外観はようするに物事を正当化するのです。
こうした経緯を経て、それでもライブドアを正面から批判して大丈夫なのか。結局多くの不服者達は沈黙したのでした。これは今頃あれやこれや言っても、後の祭りであり、尻馬に乗る類のように思います。
私は企業人としてのリスクをとりながら本件についての批判者でした。以下2005年5月に書いた「会社は誰のものか」(新潮新書)の一文です。
「ライブドアによるニッポン放送買収騒動で進んだのは、キャッチフレーズ的に言えば「事業の事件化」「会社の商品化」「経営者のタレント化」「産業のメディア化」です。経営そのものは、「見出し経営」であり「愉快犯経営」です。最期の結末が「経営者の犯人化」だった、ではしゃれになりません・・・・・・・
私の直感では金融とメディア資本主義の融合の上で自己投資を行うビジネスモデルは、ものすごく大きな利益相反の問題を抱えることになると思います。利益相反を起こさないためには、自己投資や自己取引を絶対に行わない、第三者を通じても行わないという高い信任能力と自制が求められます。
しかし堀江氏に対して信任を、いったい誰がどうやったら求めることが可能でしょうか。金融とメディアの融合企業が登場するとしたら、厳しい監視は当然のこととして、その経営者には無限責任を担うほどの覚悟が必要と思います。」(p155-158)
これを執筆するときに勇気付けられたサイトを紹介します。
切り込み隊長
ライブドア騒動と、オウム真理教事件が構造的に酷似している件について
http://kiri.jblog.org/archives/001435.html
この記事は秀逸です。隊長は数年前にお会いしました。欠落を匂わせる巨大な悪のトップ。それに従うエリート幹部による情報・意思決定独占。信者化した社員教徒。美人秘書とか美人信者の劇画チックさなど。私はブランド論が専門ですが、その根幹に「宗教学」というのがあり、隊長も同様の視点で見ていたと感じました。
(追記:共通点のひとつに「ロシア」が登場するというのがあります。ロシア旧軍部(旧武器)が関係します。この理由のひとつは、「こけおどかし」や「妄想」もさることながら、団体ないし個人のマネーロンダリングも確実にあると思います。「事業や購入のミス」と「ロンダリング」の見分けがつかない世界です)
債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55
この方は金融に詳しい上に宗教社会学の素養があります。早期から気がついていらした、と思います。
糸山栄太郎日記
この人のほりえもん批判は本質を突いており力強いです。
(ある意味似ているのかもw)
ライブドア堀江くんの下品な顔は見たくない
ホリエモンはグリーンメーラー
株を買占め高値で引取らせただけ
もう一人、個人の税理士さんで20話に及んでライブドア経理の不透明さを指摘していた方がいらっしゃいます。URLをなくしてしまったのでご指摘いただけるとありがたいです。
追記:さっそく教えていただきました。
「ホリエモンの錬金術」
山根会計事務所 山根治所長
公認会計士というお立場から言葉は控えていらしてましたが、そのライブドアに対する違和感は、おそらく強烈なものがあったと思います。
ご参考:悪は盛り場にあり!
企業や経営者がダークサイド(闇)に落ちるときの注意をここには書いています。
1)悪は盛り場にあり ヒルズはいまや盛り場同然です。悪を呼び寄せるゴッサムシティのようです。
2)むこうからよってくる人には気をつけよう
特に美人や金持ちが寄ってきた場合。真っ当な美人や金持ちが彼に近づいただろうか?
3)奥さんが怖い人は気をつけよう
これは要するに秘密を抱えている・抱え込まなければいけない人は必ず脅されるということの例えです。秘密を抱えている人は、必ず脅迫に屈しそれが次の脅迫につながるのです。
今回の事件は、まさにこの「悪の3点セット」がそろっていると私は推測します。
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ホリエモン=ロビンソン・クルーソー仮説(2006年1月16日改)
PostCommnet
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Comment
>もう一人、個人の税理士さんで20話に及んでライブドア経理の不透明さを指摘していた方がいらっしゃいます。URLをなくしてしまったのでご指摘いただけるとありがたいです。
このblogのことでしょうか。強制捜査以降、アクセスが集中しているため、URLが変更されているそうです。
http://blog.goo.ne.jp/yamane_osamu/
そうです!
「ホリエモンの錬金術」
http://blog.goo.ne.jp/yamane_osamu/
山根会計事務所 山根治所長
島根の地からじっくりと会計資料をベースに分析をしていた不屈の男です。中央にいないのがやりやすかった理由かもしれません。第三者であっても公開情報をもとにしても、きちんとした分析により多くのことがわかる、その教科書的サイトですね。
いくつか思い出しました。
http://ameblo.jp/momo-shiro/archive-200502.html
February 22, 2005 ライブドアが嫌いなわけ。
http://ultrabigban.cocolog-nifty.com/ultra/2005/02/post_12.html
堀江貴文の病理5-----亡霊の記憶
1からあります。
最大のものがこれです。
http://www.egawashoko.com/menu4/contents/02_1_data_40.html
江川ブログ。これを読んだときにすべてがわかりました。
江川さんはオウム真理教事件を暴いた人。彼女の直感はこのインタビューに現れています。ジャーナリストとして本件を追求しなかったのがおしまれます。
長いので一部をコピペさせていただきます。
――(江川:以下)せっかく新しいメディアを作るのだから、今までにないものをと思わない?
(堀江:以下)思わないですね
――今までにないものを作るからこそ意味があるのでは?
ベルに意味なんてかくてもいいんですよ(笑)。意味なんてどうでもいいんですよ。我々の目的は、意味あることじゃないんですよ。新しいものを作ること、意味のあることが重要なんじゃない、我々にとっては。
――市民記者を募集するのは、新しいやり方では?
それも単なるコスト削減策なんですけどね(笑)。
――でも信頼度を上げようというのなら、それなりの質の人を集めないと。
紙(=新聞)を出してりゃ、みんな信用しますよ。そんなもんですよ。
(既存メディアの)記者のことなんて、誰も知らないでしょう?読売新聞も、みんなナベツネくらいしか知らないでしょう?
紙を出して、それが今の紙とそっくりで、例えばうちなんか「東京経済新聞」とかっていう名前にしようかと思ってるんですけど、日経と同じようなロゴで「東京経済新聞」って書いてあって、全く同じような体裁で出ていたら、分かんないじゃないですか。ああなんか格がありそうだな、とか思うでしょ?
――今までにない内容の報道をやりたいというのもない?
ないですね(笑)。いいんでよ、別に。内容が(今までのメディアと)違うかどうかは。それが目的じゃない。内容も、もしかして違ったモノになるかもしれない。ですがそれはどっちでもいい。
――堀江さんの日記には、「メディアのあり方が変わる」と書いていたが、そういう意図はないのか。
そうやって煽った方が、みんな期待感を生むじゃないですか。僕はどっちでも……
――今のメディアではあまり報道されていないことも、インターネットを通じて伝えてういこうというのだと思っていたが。
それは副産物的にそうなるかもしれないですけど、それはどうでもいい。僕にとってはどうでもいい。
初めまして。
某スレでは何度か名無しにて邂逅させて頂いております。
一点だけ、
重大な事実誤認があると思いますので指摘させていただきます。
>堀江氏が自民党から社長を辞めずに立候補したことです。
自民党から(公認)でも無ければ自民党推薦でもなかった気がします。
・自民党が公認候補として擁立に動いた事実(そして民主党も同様)。
・自民党幹事長だった武部氏や竹中蔵相が応援演説を行った事実。
・小泉自民党総裁が立候補にエールを送った事実。
これらは動かし難い事実ですが、「自民党から立候補した」という事実はありませんよ。
以上、御邪魔いたしました。
あれ?
>一言武部幹事長を弁護すれば、堀江氏が自民党から出馬しなかったのは
何だ、お判りだったんじゃないですか・・・ orz
重大な事実誤認→重要部分で誤記、と改めさせていただきます。
失礼いたしました。
>ご指摘ありがとうございました。直しました。
自民党は郵政民営化に賛成する立候補者を全選挙区で擁立すると宣言。広島六区から自党の候補者を立てず、事実上堀江氏を支援。もし当選して堀江氏が社長を辞めるということになれば、入党させるというシナリオだったと思います。
そうした場合、「実質ライブドア支配者でありながら、金融庁とか内閣府の政務官になったりしていた」可能性もあると私は思います。
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