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アメリカンブランドの地平

2001/03/29
ブランドと経営

先日、あるアメリカの有名な会社の日本支社を訪ねました。
その企業の有名なロゴがいたるところにあり、そしてキャンペーンの広告の写真や、
プレミアムグッズがきれいにディスプレイされています。
社内は綺麗です。おそらくほとんどの製品開発やブランディングの作業は、アメリカ本国において行われているはずです。日本支社はしたがって販売子会社です。
そのせいでしょうか。なんとなく社内の空気が空虚です。
この空虚さは、とくにアメリカ発の企業に僕が感じる感覚で、ヨーロッパ発の企業にはあまり感じません。

この空虚さについての僕の独自の解釈があります。
それはアメリカの有名ブランド企業のほとんどは、宗教的だということです。その宗教とはもちろんプロテスタンティズム、ですが。
これは会社だけでなく国自体にも言えることです。
nozomu.netの顧問、ギ・ソルマン氏はこう言いました。
「ムッシュヨシダ、アメリカは文化と経済と政治が密接な複合体(コンプレックス)をかたちづくっている。その現在の司祭はだれか。ご存知か?」
「クリントン大統領(当時)かあるいは、マイケル・ジョーダンですか?わかりません。教えていただけますか?」
「それは・・・・・マドンナです。彼女は貧困家庭から成り上がって最後、幸せな母親という座まで手に入れ、しかも自分の身体を自由自在に変えることができる。この前は、ハイヒールを履いて、スポーツカーの上で踊っていました。彼女がアメリカの司祭の座についているとアメリカの社会学者に言ったら納得してました。」

同じような政治ー経済-文化のコンプレックス性を、アメリカ発のブランド企業にも感じます。
マイクロソフトにたとえるならば、ビルゲイツ氏が法王で、企業幹部が枢機卿や教会幹部で、一般社員が司祭で、お客は非マイクロソフト者。ウインドウズの購入を通じて、マイクロソフト教に入信できる。
同じような宗教感を、コカコーラやインテルやマクドナルドやシスコやデルやフェデックスにも感じるのです。
アメリカのブランドですと、だからブランド宣教のためにアフリカやロシアや東欧や南アメリカにまでどこまでも浸透する勢いです。それを実現するインフラ(グローバル代理店や金融会社との連携)が備わっていることの証左でもありますが。
一方、ヨーロッパ発のブランドにそこまでの浸透をするだけの強烈さは感じません。どちらかというと「家父長制」がベースで創業家がブランドの中心にある。なんとなく日本の企業と体質が似ているのです。
こちらは、「まあ日米欧?あとちょっとアジア?ぐらいでいいかなー」程度のグローバル浸透度にとどまります。
日本は宗教のない国、宗教心を失わせる国。
だから日本にあるアメリカ発ブランド企業は宗教性が形骸して、やや空虚さが漂うのではないか、というのが僕の解釈です。そういえば国内幹部の誰が本国の意向と信任を受けているのか、で争いが起こるところも教団と、どこか似ていますね。

いずれにせよ、ブランドの核にあるのは、宗教や家族などの社会制度が作る非合理な信念や忠誠心である。僕はそう確信しています。

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