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第一班

2002/11/25
人生・本そのほか

岡康道と共著で「ブランド」(宣伝会議)という本を出しました。冒頭の自己紹介には期せずして(なわけはないですが)、お互いが電通入社して「第一班」に入ったと書いています。(これは相当過去への感傷の入った文章で、「電通的」なるものに不快になった方はごめんなさい、ちなみにこの電通への感傷は僕固有のもので、別に岡君とは共有しておりません)

 他の会社も多分そうだと思いますが、電通では同期が、なにか特別な友情で結ばれているところがありました。厳しい競争社会を勝ち抜く上での癒し、オアシス。同期には、ちょっとそういう甘い感傷が許されていたようにも思います。
 僕の同期は、社外に出ても活躍している人が多いです。例えば、衆議院議員になった平井卓也。ユニクロを手がける「タイノス」社長の大倉真一郎。スポナビをつくりつぶして、その後通産産業研究所の上席研究員にちゃっかりおさまった広瀬一郎。仙台坂下の素敵な小料理屋のお上、武田ひむか嬢。

 僕らの入社した1980年はまだ採用でペーパー試験が幅を利かせていました。翌年からはほぼ面接のみに採用試験が変わりました。電通の社会的ステータスは今ほど高くなく、ようするに「純粋エリート君」ではなく、ちょっとヒネたはみ出し志向の人間が集まる時代だったとも言えるでしょう。
 この「班」は入社してから約二ヶ月の新人研修を、ずーと一緒に受ける仲間です。(言うまでもありませんが、別に優秀なほうから順に班にしているわけではありません。)研修の最後には配属があります。ある人は地方、ある人は新聞、ある人はクリエイティブ・・・・ま、軍隊と同じようなものですね。班がちょうど予科練というかんじです。何度班で飲みに行って朝帰りしたことか。
 僕は恵まれた大学時代をすごし、すでに六本木のディスコに熟知していました。岡君は逆に体育会系の苦学生。僕は岡に六本木のディスクと飲み屋とレストランの地図を書いて渡したものです。(今ではどっちかというと逆の関係になってしまいましたが(笑))大学時代とは違い、経験も視座も違う人間と出会う新鮮なカルチャーショックがありました。

 僕と岡君は当時あった「連総付け」という制度で、配属後の一年間を僕はマーケティング局、岡君がクリエイティブ局で一種の研修期間として過ごし、そのあと営業に配属になりました。営業はお金を取ってくる窓口の最前線ですから、経験がものをいいます。新人は相当出来がよくないとまずいです。だから優秀そうな人間を選んで「連総付け」にした、ということはあったと思います。(あくまで入社時点で優秀そうな・・・というだけで、今考えると入社後の優秀さとはまったく別モノでしたが)

 この「第一班」はしかし、岡と僕には特別な感傷体験だったのです。それは研修の終わりに、「模擬プレゼン」という班対抗で勝敗を決する演習があったからです。(いずれの時代でも競合プレゼンテーションは自発的に生徒を燃えさせるいい手段です。)オリエンで与えられたテーマは米。想定クライアントは恐らく全農。当時、というかいまだにそうですが「長期低落傾向にある「米」を如何に売るか」というのが与えられた題材でした。
 僕たちのチームは自然に役割分担がうまくいき、僕はマーケ、岡はコピーライターを勤めました。まとめ役の営業のヘッドは今も大阪電通の営業の第一線で活躍する田中信次郎という男が勤めました。他の班では役割分担がうまくいかず、主導権争いになって自滅するところもありましたが、どうやら僕らの班は22-3歳にしてはほんのちょっとだけ大人だったようです・・・

 僕らがプレゼンしたのはゴーマン美智子という日系アメリカ人のマラソンランナーが走っている案で、ヘッドコピーは「走りコメ! ゴーマン美智子は米を選んだ」(コピーライター岡康道)です。芸大首席のデザイナー込山君がプロはだしの技術でコンテを描き、セールスプロモーションプランでは牛乳パックに米を詰めてコンビニで売るというアイデア。僕らのプランは今思い出しても、その後の健康ブームを先取りする秀逸なアイデアを提供したと思うのです。

お互いに違う道で辛酸を舐めたけれど、僕はこの会社生活をスタートする最初の成功体験を僕らは心の刻印としてとっておき、つらいときにいつも思い出してきたように思います。ちなみに岡康道君にとっては・・・・辛酸の後でクリエイターとしてもっともっと巨大な賞賛を得続けてきたので、多分思い出のほんの一こまぐらいの話であることでしょう・・・

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