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国の倫理指数

2007/05/04
歴史と社会

ホログラフィの発明で1971年にノーベル物理学賞を受賞者、ガーボル・デーネシュ氏は人生訓や、社会提言でも知られています。
彼の有名な名言に「未来を予測する最良の方法は、未来を造り出すことである」というのがあります。
氏は社会の倫理指数を100点満点で表す、という試みをしています。
成熟した社会ほど、倫理点数の高い人が高い地位にのぼり、未成熟な国ほど倫理点数の低い人が高い地位にのぼるとしています。
GNPよりも成熟度のほうが国にとって大事であるというのが、動乱にあった母国を離れイギリスで暮らした氏の信念でした。

100点 自分を表面に出さない。自己を犠牲にしてでも、良い仕事や他人への奉仕に献身する。人が危険にさらされたら、全力で救助する。国は通貨価値を守る。

90-100点 社会的に有益な仕事に献身。反社会的行動は絶対にとらない。エゴ(利己主義)は抑制されていないが、社会(自国民)の安全を守るためには、地の果てまでも行って救助する。国は通貨価値を守る。

80-90点 社会的に申し分のない行動をとる。しかもエゴと社会的環境との間で、自らのバランスをとり、利己的ではない行動をとる。社会を守り、危険には相互扶助し、被害者とその家族を守る。

70-80点 正しい環境の中では、責任ある信頼できる態度をとるが、自分の帰属集団の基準には付和雷同しやすい。しかし社会の安全を守るためには協同して戦う美点がある。

60-70点 通常の条件の下では良い市民でも、反面賤しい利己的行動もとる。時々嘘をつく。社会を守るという義務感は希薄。国はある程度通貨価値を守る。

50-60点 監督されている限り社会的な存在として、行動する。しかし時々不正なこと(万引、スリ、騙し)をする。論理的な感覚を尊ぶ感覚は乏しい。低い倫理基準に流れやすく、信頼性が低い。

40-50点 嫉妬・憎悪にとみ、時として残酷。空想と空理を好み、犯罪的行動の傾向がある。真実より嘘を選り好みするから、法を踏みつぶし、叛逆史観(主敵と連携)の元首を選出、非正常的社会を醸成する。国は通貨価値をインフレーションに導き、自国民が他国に拉致されても被害者とその家族を守る意思はまったくない。歴史を歪曲し、そこから学ぼうとしない。

40点以下 野蛮で悪意があり、残忍で常習の犯罪人集団。社会に敵対することを革新と叫び、倫理を破壊して人の生命と財産を没収。専制・独裁を勝手に美化する。国は通貨価値を守らず、人を監視し、人権はなく、餓死させたり、強制収容で瀕死に導くことを改革といい、他国民でも平気で拉致する。国際的孤立・鎖国政策を徹底させる。(崔基鎬氏による)


日本は歴史という社会資源に恵まれた国です。武士という軍事官僚が地方分権型の国を監督する数百年を経たおかげて、基本的に私たちの社会は、室町・戦国時代こそ40-50点であったであろうが、それ以降、江戸時代・明治時代を経て現時点で80点以上の成熟度を示していると思います。(自画自賛のきらいはあろうが)
世界を眺めると、いや日本の近隣を眺めるだけでも、40-50点台の国がまだたくさんあります。

より成熟度を高めるために、ガーボル氏が示している90点以上の判断基準が興味深い。
私たちは最近の拉致問題への対応を通じて、おそらくこの数十年で低下した社会の成熟度を、もう一度少し増したのだ、と思います。
しかし彼は「社会(自国民)の安全を守るためには、地の果てまでも行って救助する。」さらには、「人(他人)が危険にさらされたら、全力で救助する。」と言っています。
これには機動的な軍事・警察能力が必要ですし、他の国への関心や行動力、その行動を可能にするだけの国際政治力や安心感が問われます。世界で軍事力およびおせっかいなほどの道徳観で随一のアメリカが昨今、この価値観に目覚めて行動したところ(イラク戦争)、世界中から軍事力だけでなく分別や政治的配慮のあるやなしや、を問われ価値観の退嬰に悩み始めているような気がします。日本は歴史的な問題もあって自国だけでこの成熟度を示すことは難しく、たとえば「軍事力のアメリカ、分別の日本」といわれるような協調的・政治的地位を獲得していくことが、日本の成熟度を増す唯一の道といえるでしょう。

もう一つは通貨価値。私たち日本人は通貨価値を守ることに、それほどの重きを置いていません。輸出産業が多い日本ではむしろ円安ぎみのほうが、貿易黒字が高く国の景気がいい、という傾向があることもあるでしょう。これはアメリカでもロバート・ルービンという人が財務長官について以降、ようやくドル高政策への転換が行われました。生産者としてではなく生活者の地位が高い生活者主権の国になるために。今後は政治リーダーのこの点への留意が日本でも必要になってくるのだと思います。

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