「美しい国へ」(安倍晋三著)への違和感 その1 |
2006/09/20 歴史と社会 |
「アメリカとヨーロッパの「リベラル」は異なるのだそうだ」
今話題の「美しい国へ」(安倍晋三著)を買ってみました。
まだ全部読んでいません。全部読み終われるかどうか心配です。
というのも第一章「わたしの原点」で私は躓いてしまいました。
リベラルとはどんな意味か・・・・「美しい国へ」P16-18のあたりです。
安倍さんはこう主張しています。「美しい国へ」から引用します。
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「もともと『リベラル』という言葉は、ヨーロッパとアメリカでは、受け取り方が大きく違う。
ヨーロッパでは王権に対して、市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の歴史をつくりあげてきた歴史を持つことから、同じリベラルでも他者の介入を許さないという『個人主義』に近い意味で使われる。これに対してアメリカにおけるリベラルは、社会的平等や公正の実現には政府が積極的に介入すべきであると考える、いわゆる『大きな政府』を支持する立場だ。
アメリカには、封建主義の歴史がない。生まれながらにして平等な社会が原則であり、その制度や権力は、新大陸に渡ったピューリタンたち個々人の合意の上でつくられた。だから自由主義と民主主義が対立することなく共存できた。
ところが、建国から百五十年余り後、1929年に始まった世界大恐慌は、アメリカに1300万人の失業者を生み出すことになった。このとき、F.D.ルーズベルト大統領のとったのが、ニューディールと呼ばれる、政府が経済に積極的に介入する政策である。それは社会主義的な性格をもつ政策であったために、結果として大きな政府へと向かうことになった。
このときニューディール政策を唱えた人たちが自らを『リベラル』と呼び始めたことから社会主義、あるいは、それに近い考え方をもつ人のことをリベラリストと呼ぶことになった。革命主義や左翼もこの範疇にはいる。いうなれば『リベラル』とは、ヨーロッパとアメリカでは、むしろ対立する概念だったのである。日本でしばしば用語の混乱がみられるのはこのことがよく理解されていないからだ。
ではお前はどういう考え方の持ち主なのか、と問われれば、わたしはこうしたアメリカでいわれる『リベラル』ではない『保守主義』、さらにいえば『開かれた保守主義』が私の立場である。」・・・・・(以下「うさんくさい気がした『安保反対』の理由』に続く)
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このなかの「市民が血を流しながら自由の権利を獲得し、民主主義の歴史をつくりあげてきた歴史」への安倍さんの共感はもしかしたら、明治維新における長州藩という出自から生まれる感覚かもしれません。
私はそれは結局は支配社会層である武士の革命であって、ヨーロッパと同等の市民性(平等な市民が血を流して自由の権利を獲得する歴史観)は日本では発生しなかったと思っています。それは結局敗戦によりマッカーサーとアメリカによりもたらされた、再び「上からの革命」だったのではないでしょうか?それはさておき・・・・・
安倍さんがおっしゃられていることを要約すると、簡単にいえば「リベラリストにも『クラシック』(ヨーロッパ派)と『ニュー』(アメリカ派)がある。自分は『ニュー』は嫌いで『クラシック』なリベラルが好きだ、クラシックなリベラリストだ」ということだと思います。
私はこう頭の中で考えていてちょっと「あれ?」と思いました。
これによく似た言論を、ちょうど2チャンネルで見たばかりだったからです。
(この項続く:随時書き直しあり)
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文中、
「これに対してアメリカにおけるリベラルは、社会的平等や公正の実現には政府が積極的に介入すべきであると考える、いわゆる『大きな政府』を支持する立場だ。」
が重複記述されています。
直しましたすみません。
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