Mファンドの去就 |
2006/01/25 ライブドア |
ライブドア事件の次に関心を呼ぶのはMファンドの去就と思います。
Mファンドは、ニッポン放送買収、そのほかライブドアの企業買収案件に多く絡んでいます。
その売買手口はまさに神がかり。可能性としては。
1)M氏が「神」である
2)M氏らはインサイダー情報を知っていた
このどちらかだと思います。(どちらかはわかりません。)
大口投資家(ファンド)は、企業経営者ではないので、会計上の問題を起こすことはほとんどありません。しかしインサイダー規制つまり、一般に公開されていないいわゆる一次情報を利用して事前に株を購入し、そのニュースが出た後ですぐ売却利益を得ることは違法であり、禁止されています。
したがって大株主、経営者、従業員、その家族や取引先の関係者、アナリストなど、いわゆる一次情報を取得できる立場にある人間なら誰でも、厳密に言うと潜在的インサイダーと言えます。
この「厳密に言うと」が微妙ですが、1)その程度、金額などが著しい場合、2)社会的な悪影響を及ぼす場合、3)そして決定的な証拠が見つかった場合、法執行の関心を呼ぶと思われます。通常内部告発以外に3)が見つかりにくい事がインサイダー取引規制を難しくしています。
今回のライブドア事件の注目点としては、10万通ものメールが押収されたことです。
その中にファンドとの密約や取引を証拠だてるものがあれば、この3)が作動することになります。
決定的な証拠が出ない場合。
その巧みさはもはや神としてあがめられ許されることでしょう。
そうでなく立件が可能になった場合。
私はその結果、たとえばニッポン放送の買収問題で、時間外取引について裁判所が下した合法という判断には大いなる疑問符がつくと思います。
このことの理解には、
大陸法=成文法主義=自然法主義
英米法=慣習法主義=実定法主義
の差を理解する必要があるのですが・・
簡単に言えば、
1)法律の抜け穴があるからやってもいい。だって法律が悪いのだから。それほど法律は大事で立派なものである(大陸法)
2)人間の常識、慣習が大事で法律はそれにあわせて柔軟に変えていけばいい、大事なのは精神だから(慣習法)
この差があります。日本の法律は明治以降、大陸法(ドイツ法)の影響を受けているとされています。(時代や経済の進展とともに慣習法的精神が必要になってきているとも言われています)
時間外取引が偶然に起こるものですか。
その背景にあるのは、確実にインサイダー取引です。
(あるいは神が偶然舞い降りたのか?)
その証拠が調べられないから、「それは一応合法」とみなす。
これはまさに上記1)の立場(しかも極論)からの意見です。
私は当時これを主張した弁護士、会計士をあまり信用していません。(裁判所も)
法哲学の知識と時代背景を読む能力が欠如しているのだと思います。
別のたとえですが。
ナチスドイツは完全にも思えたワイマール憲法(大陸法)下で「合法的」に政権を奪取しました。
しかし事後的に言えば、その内実は完全な法秩序の無視でした。
ワイマール憲法は外形的には100%近代的だったのですが、それが作動する基軸(精神)にかけていたため、ナチスドイツという悪性腫瘍の氾濫を許してしまったのです。
組織犯罪の場合、調査能力、対峙能力が必要です。裁判所は外形的に判断するのではなく、関係した会社の意思決定、経営判断の真実を問うべきでした。
さて。
Mファンドが神がかりなのか、インサイダーなのかはまだわかっておりません。
しかしおそらく想定されるのは、Mファンド(あるいはそれに類するいくつか投資機関)の先はそれほど追及されないのではないか?ということです。
(単なる想定です)
一罰百戒という言葉があります。
全交通違反、全政治資金規正法違反、全談合の摘発が無理なように。
全インサイダー事件の摘発は難しい。法判断としては、どこかでグレーと黒の線引きをしなければなりません。
もちろん、Mファンドがグレー側に落ちる、という政治判断の可能性も捨て切れません。
事態の推移を見守りたいと存じます。
PostCommnet
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1)M氏が「神」である
2)M氏らはインサイダー情報を知っていた
このどちらかだと思います。(どちらかはわかりません。)
どうやら「神」ではなかったようで・・・
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