7月6日大和ミュージアム訪問 |
2005/07/07 戦艦大和や靖国問題 |
7月7日に大和ミュージアムを訪問いたしました。私の父は戦艦大和に乗っており、本施設ができるときに父が持っていた大和の模型を寄付しました。関係者がその施設を訪ねるという朝日新聞の企画で呉支局より招待されたものです。
http://yamato.kure-city.jp/
大和ミュージアムは、広島県呉に2ヶ月前にできた戦艦大和をモチーフにした博物館です。
全長26.3メートルの10分の一大の大和の模型があり、これは一見に値します。
追記:そのときの新聞記事(注意453K・PDF)が掲載されました。(bold顔が怖すぎ)
なぜ呉か。明治時代に日本国は日本の海防を行うため、日本を4地域に分けてそれぞれ鎮守府という海防拠点をつくりました。
横須賀、佐世保、呉、舞鶴の4つが拠点です。中でも呉は内海にあり防衛力が高い事から海軍装備の設計や建造の拠点となりました。(横須賀、佐世保は戦後アメリカ軍が駐留したこともあり、反軍感情が強いようです)
この歴史ある呉におかれた大和ミュージアムは、今年春に開館いたしましたが、この20年ほどの日本の展示施設の中でも特筆すべき成功を示しました。
当初計画では初年度に40万人を集める計画を立てており、これは他展示施設の例から見て誇大な計画と言われておりました。
しかし。今開館後二ヶ月目ですでに36万人の人々が訪れています。
年内に100万人を突破することでしょう。
当日も20台ほどの観光バスが着ておりました。
先日は視覚障害者団体が訪れたそうです。
彼らがなぜ大模型を見に、と思うかもしれませんが、そこにきて来訪者の興奮やささやき、空間の広がりなどを実感することにより大変な満足を得たそうです。
なぜここまで成功したのか。
私はこの施設が日本人の自尊心と実感に答えるものだったからだと思います。
今まで広島で人々を集めていた歴史施設は原爆ドーム。
その悲惨さは後世に伝えるべきものですが、しかし戦争の記憶を歴史にとどめるのに、それだけはあまりに自虐、悲惨、後悔、巨大な被害のみが伝わります。
戦った個々人の誇りや悲しみ、志をつたえることがないため、原爆ドームだけでは正確ではないだろう。
そういう実感を人々がもっていたからこそ、堰を切ったかのように、大和ミュージアムに人が訪れているのだと思います。
大和を作った造船技術の粋には心を打たれました。
近代史で自前で戦艦を建造した国は、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、日本、ロシアの6国だけです。アジアでは日本のみ。
艤装といって船の上層部を作る仕事では、日本は世界のトップの地位を当時から現在まで維持しています。
このころのしっかりとした工業技術が戦争を超えて次世代にバトンタッチされ、鉄鋼、造船、自動車、精密機械へと、つまりは戦後の高度成長に寄与したのだ、という実感を得ました。設計者から工員の細部にいたるまでの緻密さとまじめさ、必死さが、大和にはこめられていました。その志を私たちは今受け継いでいるのだろうか・・という疑念に襲われます。
また心を打たれたのは、人々の日記や遺書です。
まず字がうまい。彼らは毎日墨をすって、日記を書いていたのです。
そして特攻に赴くときに、人生を、女性を知らずに若さを散らす事。
遺族を嘆かせる事の悲しさと痛み。抑制しながらも彼らはその魂の叫びを文章に出さずにはいられません。
そして。彼らの多くは遺書で母に言及しています。まだ子供らだったのです。
近年中に自衛隊が潜水艦と掃海艇の展示施設を大和ミュージアムのとなりにつくるそうです。軍事機密の中でもトップクラスの現役の潜水艦が水中から引き上げられ展示されることは海外でも見当たりません。ハッチの厚さ(潜行深度がわかる)、スクリュー(動力性能がわかる)などは隠されるようです。
そして掃海艇。掃海艇は木造でできており、機雷を撤去する仕事に従事します。日本の掃海艇の能力は世界のトップクラスです。
旧海軍兵学校があった江田島とあわせ、ここは日本海軍史の聖地になることでしょう。ということで、お薦めです。
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