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「E-mailチャイルドの時代」

1988/10/01
メディア社会

 一度ある有名女子大付属小学校に行ってショックを受けました。小学校3年生で、もうコンピュータに向く子供と向かない子供がいる、って事に。考えてみれば当然ですが子供平等幻想ってそれなりにあるじゃないですか。
 もう一つ。教えるほうの問題も感じました。コンピュータをコンピュータとして教えるのか、数学や理科や国語を教えるツールとして使うのか。これは授業時間を巡る「利権問題」に直結し、そのなかで後者は正論ですが、それを行う教員、教材の課題が大きいです・・・・現状ではほとんど「無理」といってもいいでしょう。

文部省の計画では、平成11年までに小学校あたり22台−つまり一クラスの2人に1台−コンピュータを導入しようとしている。さらに、加速しようとしているのはインターネットの整備で、現在、7.9%にしか過ぎない小学校のインターネット接続率を2003年までに100パーセントにする予定だ。現在、義務教育期間の情報教育にもっとも熱心なのは恐らく北欧である。寒冷で夜が長く広大な国土という地理的な条件もあいまって、スエーデンやフィンランドでのインターネット利用率は30%を超えているという。北欧は英語教育においても小学年の高学年時に、外国語のヒアリングが画期的に進歩する「生涯の分水嶺」があることを分析して導入に成功している。「リテラシー」と呼ばれる情報対応能力においても同様の「分水嶺」があるのかどうか、今後興味深い点である。というのは弊社の研究では、成人後の情報化への対応は大きな個人差が目立っている。年齢が高まれば高まるほど「なにが起こっても決してコンピュータに触れない人」が、かなりの数存在しているのが現状だ。
 現在インフラ投資の情報化へのシフトが話題になっているが、高度情報社会における最大のメディアインフラは、ハードではなく「普及率」そのものにある。多くのメディアは10%にまでその普及率が達したときに、はじめて自力での育成が可能になり、また普及率が100%に高いほど、メディアの経済性は高まるからである。10%に達するまでの期間が短く、最終普及率の高い国は減らすかが、課題となるからである。フィンランドやスエーデン、あるいはシンガポールなどの都市国家ならでは「高普及率現象」を、人口が一億人を超える日本が達成できるかどうか。情報教育への対処が21世紀の国力を左右する条件の一つである事は間違いない。

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1 - Name: 鞄人 : 2005/07/14 23:14

5歳の息子を持つ身として、この続き(結果?効果?)が気になります。是非2005年の今について現状および吉田氏のお考えをおききしたいです。


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