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頭がいいのに成功できない10の理由

2007/02/26
人間というものは

元の会社や友人たちを見ても、学者や弁護士、エンジニアなどの特殊な世界以外では(実は!そういう世界も同じなのですが)、若き日にもっとも賢かったはずの男たちは仕事人生におけるトップにたっていません。かといって頭の悪い連中が出世しているということでもありません。頭のよさでは、第二集団ぐらいにいた連中がもっとも成功を収めているようです。
もっと卑近な話ですが、私は「ブランド」の共著者である岡康道に比べてIQにして10は上だと思いますが、収入は彼のほうが10倍はあるでしょう(はいいすぎか笑)

学校で教えていると秀才君にたくさん出会います。彼らはいわば学業エリート。入社エリートにも相当程度重なります。人がうらやむ人生の前半を過ごしています。しかし彼らの今後の長い人生行路を考えると、自らの頭のよさとどう対処するのか。これからが大事なような気がします。
彼らへのエール(と自戒)をこめて書きます。

ところで。
ここでいう「頭のよさ」とはちょっと偏ったものさし、学業を成し遂げるような、テストでいい点をとるような、論文がかけるような「知力・思考力」のことを意味します。
それ以外に人間には、意志力、感情(感性)力の2つの知的資質があります。この2つの資質に比べて、特に「知力・思考力」に優れている、そのバランスが知力・思考力に偏りすぎている人のことをこのエントリでは「頭のいい」人とします。
(人生において「真の意味で頭がいい」のは「意思」「感情」「知性」のバランスが取れていることで、先ほどの第二集団はこのバランスがよかった人たちですが、それはさておいて)


1) 頭のいい人は正解がない問題に弱い
 学業は問題に正解がなければ「問題がおかしい」わけですが、現実社会の問題というのはその、まさに「おかしい問題」だらけ。しかも解法すらもない場合が多いのです。解答を探しているうちに、問題が自然消滅したり、人や状況が変わったり。あるいは単に耐える、時が解決するということだけが解決策である場合も多いのです。頭がいい人はそこで、正解を探しすぎて疲れてしまいます。

2) 頭のいい人は決断ができない
 未来というのはあまりに不確定要素だらけで、知性や思考力だけでは判断しかねる存在です。多くの場合重要な決断や決定は、知性だけでなく意思、そして感情(特に社会的感情といわれる正義感、義務感、あるいは嫉妬心や虚栄心など)によって行われることが多いのです。知性が勝ちすぎる人は思考にたよって未来を知ろうとしすぎて、逆に決定不能になることがよくあります。

3) 頭のいい人は臆病になりがちである
 つまるところ、私たちに結局成功をもたらすのは、天佑や僥倖・・・・運が最後自分に味方をしてくれたときだけといっても過言ではありません。「ほとんどの失敗は予測可能だが、ほとんどの成功は予測不可能な偶然の一押しによる」。この未来、なかでも未来の成功の持つ不確実性に直面したときに、知性はすくんでしまうのです。

4) 頭のいい人は「わからない人」の気持ちがわからない
これは文字通りです。感情家は人の感情がわかる、意思家は人の意思を統率できる。これらと比べて、知性による集団へのリーダーシップは大きな差が開いてしまうのです。

5) 頭のいい人はいざというときに徒党を組めない
徒党は結局義理人情。割に合わない貸し借りを長期続けると、人生としては得が生じることもある、という非合理的合理の論理です。しかし「非日常においていざ」というとき(例えば創業、起業、倒産、抗争)の仲間は人生の死活を分けるわけですが、彼らは普段の義理人情の交換によって育まれる場合も多いのです。

6) 頭のいい人は警戒される
意思が強い人、感情が豊かな人は人から嫌われることはあっても警戒はされません。しかし頭のよさ、というのは自分が思いもつかないことを思いついたり気がついたり。そういう魔術的な薄気味悪さがあるという点で、人の大いなる警戒を誘ってしまいます。

7) 頭のいい人は頭のいいひと同士の競争に巻き込まれやすい
点数がつく競争に強い人は結局のところ点数がつく競争が好きです。はっきりとした点数がつかない、曖昧ではあるものの実は有利な競争よりも、非常に厳しい競争相手がいて点数がつく競争を選んでしまいがちなのが、頭のいい人たちの悪癖です。

8) 頭のいい人は悪人に騙されて逃げられない
オウム真理教についていったエリートたちを思い浮かべてください。あるいはホリエモンに唯々諾々と従ったライブドアのエリート社員。(そして両者の共通点)頭がいい人の本質は大抵善人なのですが、彼らは直感よりも自分の知性に自信があるため、悪人に従ったという過去の現実を覆すことが難しく、普通の人たちよりもかえって騙された状態から脱却ができにくい」のです。

9)頭のいい人は逆境に弱い
これはおそらく彼らが学業や就職で苦労せず順調に成功してきたことからくるのだと思います。もてようとしてもてない現実に直面している場合はまだまともですが、それすらも「俺がその気にもしなれば大抵の女はなびくはずだ」と思い込んでいたりすると、相当に逆境に弱い人生となってしまいます。

10) 頭のいい人は意思力や感情力が練習によって強化されることを知らない
頭がそれほどよくない人は、しょうがなく意志力や感情力を磨いてきたのだと思います。それらは知力同様生来の素質もあるけれど、努力や訓練、人とのコミュニケーションによって培われる能力のような気がします。ところが知力が高い人はそれを知りません。あるいは。そこまで多くの資質をもつと人からさらに嫉妬されることを厭って、意図せず訓練を怠るようになってきたのかもしれません。

ということで。
自分が「頭がいい」ことに自信があるかたは、上の10か条を時折参照されて人生励んでみてください。

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最後に。「頭のいい人」向けに上記シニカルなエントリを訳しておきましょう。
頭のいい人もそうでない人も人生・・・
.
1)正解がない状態にも耐えよう
2)感情や意思を使って決断しよう
3)幸運の女神を信じよう
4)わからない人にも(時には)TUNEしよう
5)人生の同志を見つけよう
6)考えたこと思いついたことはわかりやすく話そう(ニッとかせずに)
7)優れた人が少ないジャンルでの競争を目指そう
8)悪人は本能で見分けよう
9)逆境はいつまでもは続かない(例外もあるが)
10)意思力と感情力を気軽に磨こうせっかくの人生

当たり前すぎたでしょうか。
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人生の教訓とご参考

記憶と感情と首尾一貫と
嫉妬と尊敬は紙一重
自分と折り合いをつける
意思と意図と意表と
いい豹変わるい豹変
人の行く道の裏に花あり
天使には褒美を、悪魔には罰を、人間にはフェアネスを
幸運の女神の後ろ髪をつかむ方法
それほど優秀でもない人がパイオニアになる方法
アイデアがない人
歪んだ万能感
裏十則

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Comment

1 - Name: kozo takei : 2007/03/08 14:48

コメント、書かせていただきます。
失礼いたします。

私、武井と申します。

吉田様の見解もさることながら、読み心地の良いテンポが、なんとも言えず好きです。

というか、今日初めて拝見したのですが、好きになってしまいました。

コンサルティングという職業にも興味を持っておりまして、今後の吉田様のご活躍、ブログのアップが大変楽しみです。


自由に書かせていただいて申し訳ありません。

ご容赦ください。

勝手ながら失礼いたします。

武井浩三

2 - Name: makiguchi : 2007/04/18 02:43

初めて書き込ませて頂きます。

今までのお仕事の遍歴やブログを読む限り、貴兄は「頭がいい」ながらも、最後の最後でその毒からご自分を救って来られているようにお見受けします。

が私は、それなりに「頭がいい」と周囲に言われ続けながらも、その毒に散々苦しめられてきました。

全く1)の通りで、この世にはなき正解を探し続けるあまり逆に馬鹿扱いされたり、4)5)の性質から人間関係の構築がどちらかというと苦手だったり、7)のように競争する理由の分からない競争に敢えて身を置いて自滅したり、9)の通りメンタリティの弱さから人生を前向きに進んで行くことが出来なかったり…で、自分でも自分を持て余し人生の迷走を散々続けてきました。

迷走も極まり、重度の鬱を患い完全に社会から隔離されて療養していた2年半の間に、日本一の個人投資家(の著書)に出会い、「ほとんどの失敗は予測可能だが、ほとんどの成功は予測不可能な偶然の一押しによる」という事実、つまり「人生の成功不成功は運によるところが大きい」という厳然たる事実に気づき、ここに至ってようやく人生の眼前が開けてきたと個人的には思っているのですが、ここで書きたかったのはそういうことではありません。

この、「ほとんどの失敗は予測可能だが、ほとんどの成功は予測不可能な偶然の一押しによる」について、これをもっと突き詰めた考えを上記の大投資家がなさっているので、(余計なお世話かもしれませんが)シェアさせていただきたい、というか、出来るものならシェアしてみたいと思い、長々と書き込ませていただいた次第です。
 
この保有時価総額300億円以上の個人大投資家とは、竹田和平氏(http://plaza.rakuten.co.jp/takedawahei/)という方なのですが、この方が仰るには「この世には意識体が三つある。一つは宇宙を作ったサムシング・グレート。もう一つは我々(人間)。そしてもう一つが『精霊』(先祖等の霊)。この『精霊』に感謝すると、喜んで人生の手助けをしてくれる。あの親鸞も『南無阿弥陀仏(感謝の辞)を唱えれば、十法無量の諸仏が、百重千重囲僥して、喜び守り給うなり』と説いている。だから私は、一年間で百万回の『ありがとう』を唱えることにしている…」

目には見えない存在に意識的に感謝することによって守ってもらい(=運を味方につけ)、幸運にも300億円以上の資産を保有するに至ったという事実、これはまさに「ほとんどの失敗は予測可能だが、ほとんどの成功は予測不可能な偶然の一押しによる」、つまり「成功不成功は運による」説を一歩押し進めた考えを、さらに実践した結果だと言えると思います。逆に言えば、こういう情報をもうまく扱わないことには、日本一の大投資家たり得なかったということなのでしょう。

私は学生時代に小林秀雄という批評家に傾倒しました。小林氏も、計量(=数学)をその基盤とする現代物理学、ひいては科学を批判していました(その言説によって逆に彼は一部の言論人達からは嘲笑されてもいましたが)。科学万能の現代では「目に見えぬもの」の存在を無視してしまう風潮が色濃く存在するが、そういう現代という一時代の通念に毒されることなく物事を見よ、そこにこそ我々の人生の裸形がある、と常に小林氏は述べていました。まさしくその言葉の通り、「ほとんどの失敗は予測可能だが、ほとんどの成功は予測不可能な偶然の一押しによる」的不文律をも厳然と孕んでいるのが我々の人生なのでしょう。

今から数十年も前に小林秀雄が見抜き、現在も日本一の個人大投資家が実践している事実について、シェアできたら…という一縷の望みのもと、書き込ませていただきました。ちなみに宗教等とは全く関係ございませんのでご安心下さい。


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