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ネット業界団体の新たなガイドライン

2006/12/27
メディア社会

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061226-00000010-mai-soci
「インターネット上のプライバシー侵害や名誉棄損について総務省と業界団体は、情報を書き込んだ発信者の同意がなくても被害者に発信者の氏名や住所などを開示する方針を固めた。」

非常に興味深い問題です。
これは一部業界では「小倉(別に特定個人ではない架空の名称です~)問題」として長らく知られている問題でした。
ネット上でプライバシーが侵害されるなどの被害にあっている人が、そのプライバシー情報を開示した当事者の情報を知ることができる。
日本には長らく「仇討」の文化がありました。
なぜ日本社会に死刑判決への批判・反対が少ないのか。
これは私たちが江戸時代まで長らく仇討(ようするに私刑)、因果応報的なる措置へ、長年慣れ親しんできたことが背景にはあると思います。訴訟プロセスと、裁判所や法廷による第三者による客観的な判断によらず、問題
を解決する手段です。
「コストや手間のかかる訴訟によるではなく、書き込みをした情報が瞬時に相手にもれるとわかれば、怨恨を恐れて、おのずと自制するだろう。」
ここに見られるのは現代社会からみれば、姑息な責任逃れの、不平等かつ近世的な、しかし日本的発想と思います。

最大の問題は、そもそもこれでプライバシー問題が片付くのかどうか、ということです。
個人プライバシーがどんどんもれて行き、二次被害が起こってきそうです。
ガイドラインに触れると判断され、発信者情報を当事者に知らせたところ、発信者から訴訟を起こされたとします。
そこで公益性があるのでプライバシー侵害ではない、と法廷で認められた場合、このガイドライン遵守による「プライバシー侵害責任」は、だれがどうとるのでしょうか?

この総務省の方針は、一次、二次プロバイダー自体が法的責任から逃れることにはおそらく寄与するのだ、と思います。
しかしそれらの発信者情報の追跡は、プロバイダー自身が行っている掲示板や個人サイトに限られることでしょう。

上記の方針は、それでは訴訟によらずして、2ちゃんねるのような事業者にはいかにして反映されるのでしょうか。あるいは、私のように個人でサイトを開催している人々、あるいはハテナ、MIXI、Greeは?
海外プロバイダー上にある掲示板の場合は?プロクシーを経由している場合は?
このガイドラインが、広大なWeb2.0の世界に対応しているものなのか、という大きな疑問がわいてきます。

「世界の広大なWeb2.0のネット上の表現者すべてが、法的責任から逃れるためにそのうち、自ら総務省が主催するところの「業界団体」に加盟しなければいけない、加盟する動機が生じてくるはずだ。」
このドンキホーテ的な規制メンタリティがあるのだとすれば・・・・それを、私は「小倉問題」と名づけているのです。

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