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Virtus2001オープニングパーティスピーチ

2000/12/06
ブランドと経営

>> Presentation & Event


■ Virtus2001オープニングパーティスピーチ

本日は皆様、吉田望事務所の設立にお立会いいただきましてありがとうございました。
退社の直後、盛大なパーティを開く人がいます。
それまで築いた人脈を孔雀のように広げてみせる(笑)。
今までしてきた仕事を自分がしてきたのか、会社がさせていたのかがわからないから、怖いのです。

人は敏感で人の意図を鋭く見抜くものです。
本日、発起人に名前を連ねてくださった人には感謝したい。
私は自分の信用のために彼らの名前を利用しようと思いました。
彼らは僕に利用される事をあえてわかった上で承諾してくださったのです。
でも一つだけ。僕は金銭、名誉、どちらの野望もありません・・・・・

今から10年程前マルチメディアの初期に、 TED―テクノロジー・エンターテイメント・デザイニングというカンファレンスが、アメリカで開催され、 94年には神戸でも開催されました。
そこではビル・ゲイツと入社したばかりの新入社員が、階段に腰かけてなごやかに談笑している。
ああ、こうした社会があるのか、という感慨を持ちました。
いつの日か日本でもこうした気張らないパーティ、老若男女の集いができないか、 と考えておりました。
今回友人発起人の皆様の助けをかりて設立パーティを開くときに、その夢をかなえてみよう、と考えたのです。

歴史というものがどんな姿かたちをしているのか、みなさま考えたことがありますでしょうか。
私はこう思い描いています。強固な岩でできた断崖絶壁。
しかし時としてその断崖絶壁がおそろしい勢いで動くことがある。  
小心なお調子者だった自分になぜ、という疑問は今も去らないのですが、 ある強い力が僕を岩の中からおし出して、移動をはじめた断崖に近づけます。
かたかった岩盤がなぜかゴムのようにやわらかくなり始めている。
僕は歴史の断崖から顔を出して、空の色を見てみたいのです。
肝心なことは崖に必死でへばりついて、崖下に落ちないことです。  
塩野さんがこう書いてきてくれました。 「マキャベリいわく、事業が成功するかどうかは、そこに参与する全員がトクするかどうかにかかっている」
私の冒険がみなさんにどのような利益を及ぼすのか、私はまだ説明ができません。  
皆さんの何人かは僕に引きずられて絶壁に近づくでしょう。
なかには私のかわりに落ちてしまうおっちょこちょいもでるかもしれない。
その場合はごめんなさい。しかし、歴史が動く光景を一緒にみようではありませんか。  

僕は電通で最後にベンチャー投資会社の役員を兼務しましたが、 日本の悪しき官僚主義、自動機械化、化石化、そして鵺(ぬえ)経済化を、 若きベンチャー達の先端にまでみました。
日本的な常識では僕の年、44歳になったら新しい世代の育成を、ということでしょうが、 今回僕は、自分が現在備える人脈、知識、力量をもってもう一度若者にもどって、 今言った弊害の真逆、つまりリスクを犯し、純真であり、戦略的であり、反対をおそれず、 確信を抱いた自分として、生きていきます。
僕たちの暮らす社会は経済、技術、経営あるいはマーケティングの中にのみあるわけではありません。

この社会の岩盤は、宗教、法、政治、文化であり、経済や経営はその上に乗るボートなのです。 ブランドは決して、経済や経営の言語の上でのみ語られるものではなく、 大きな岩盤が私たちの内面に与える確固たる価値観、 たとえば宗教観、意地、本望、美学、覚悟がもたらすものだ、と私は確信しています。

僕はブランドコンサルを名乗っているので、広告業界の常識、 プラン、ドゥー、シーから思いついた僕の教義を説明させてください。
企業は、自己評価、自己実現、自己表現の3軸の向上を心がけています。

この3つが矛盾なくそろっているならば、それは企業のブランドをなします。
自己評価をたすける友は、上場会社ならばインベストファームであり、あるときには環境団体や地域社会です。
自己実現を助ける友はコンサルタントファームであり、自己表現を助ける友はクリエイティブファームです。
この3者は経営者の重要な友人ですが、お互いの儲け方、人間性は大きく異なり、 経営者に対する影響力を巡って競争をいたします。
私は、今その人、あるいは企業の問題がなにか、を診断して課題を指摘します。 私に備わっている専門家にケミストリーをおこす能力により、ある場合は二者、三者のチームを作ります。
驚くべき人をコンサルにしたてあげることもあるでしょう。

重要なのは、ブランドとは「リスクを犯すことそれを自分の天職と心得る」 リーダー個人の内面に結実する、ということだと思います。
つまり経営者やブランドマネージャー、新規企業の開発責任者など、 「リスクを犯すことそれを自分の天職と心得る」リーダーの自己評価、自己実現、自己表現も、 組織のそれと一致してなければなりません。
これを助けるのは上記のファームだけでなく、 事業という一大リスクを背負ったリーダーのそれ以外のさまざまなリスク、 病気や親族、価値観上の悩みから開放されることだと思います。

僕はメディアコンサルを同時に標榜しています。
日本では会社・大学・官僚組織はそれこそそれ自体が岩盤のごとく硬く、 すぐれた経営者であってもこの改革は容易ではありません。
これをメディアをつかって解決いたします。
日本人は朝日新聞に出たこと、インターネットに流れた噂、 さらにはウォールストリートジャーナルに出た記事を、よく信用いたします。 経営者だけでなく取引先にも従業員にも生活者にも同時に伝わること、 これが岩盤を動かす知恵だと思います。
それには優れたニュース、コンテンツが必要ですが、それを企業とともに作り出そう、 表現をもって行動の契機となそう、というのが僕が同時にメディアコンサルを名乗る理由です。

この会はその趣旨にそって、 実は私が編集長となる雑誌創刊企画の告知パーティでもあります。
雑誌のタイトルはVIRTU2001、日本初、日本発のITブランド誌です。
このパーティの模様は後でお知らせするその雑誌のサイトに掲載されることでしょう。
初期パートナーは私と解体新社の深谷さんであり、私の友人達が出資してくださり、 また新潮社、凸版印刷とのジョイントでこれを行います。
当面はまず企画会社を立ち上げて神のご加護があれば来年の創刊を目指します。
パーティの終わりに配る号外はそのパイロット版です。

意表をつきたくて黙っておりました。
みなさんは未来の有力な広告主であり代理店であり、執筆者であり、読者であります。
さらに、本日の経費は、税理士と株主が許せばその新会社につける皮算用をはじいております。
未来の編集長として、こころよりなにとぞよろしく、とお願いもうしあげます。

今日この会が後日ある非常に重要な転換点であった、 ということになることを僕はひそかに期待してます。
今回友人代表になった人々、発起人をお願いした方々は、 どこか私と同じく「リスクを犯すことそれを自分の天職と心得る」人たちではないか、と感じます。  
(田中康夫さんがもちろんその代表者のお一人です。)
後で紹介する僕の会社の取締役も、リスクをひしひしと感じながら生きる緊張と心地よさの中にいます。
僕は流行り言葉のITを、インディビジュアルとチーム=「個人組織革命」と呼びかえていますが、 日本が直面するその変革に立ち向かう新しい思想や仕組みが、 このネットワークの中から生まれでてくることを僕は確信しています。

それでは本日のパーティをお楽しみください。

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