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勝敗がつかないと歴史は進まない

2005/11/02
歴史と社会

 歴史が大きく動くのは、勝ち負けがはっきりついたとき。
明らかな勝者と敗者、が生まれるときです。
勝者はさらに「生き残るもの」と「誤り失踪するもの」、
敗者は「復活するもの」と「死者」にわかれます。
いずれにせよ日本の歴史のコマは(明治維新も終戦後もそうであったように)大きくまわりました。
勝負がはっきりつかない場合、歴史は次の勝負までしばらく足どめをしたり、あるいは勝負がつきそうにない場合には、その地域からしばらく姿を消してしまいます。


 

 この歴史法則に当てはめて、今回の日本の衆議院解散選挙とドイツの連邦衆議院解散選挙を比較すると、歴史のコマの進み方において雲泥の差を生じました。
 日本の自民党の地すべり的な勝利の遠因は、1994年の小選挙区制度の導入です。この導入に大いなる役割を果たした小沢一郎恐るべしです。首相権限の強化、官庁における政務次官制度など、小沢氏自身の活躍は別にしても、彼の当時の慧眼は際立っています。
 これ以降自民党内の派閥が縮小をはじめ、首相への権限集中が進み、ある程度政党間の勝敗がはっきりする選挙制度がつくられてきました。
 小泉ー岡田の党首対決も天の配剤といえましょう。あれほどの敗北で民主党は生まれ変わるでしょうから、大いなる敗者(岡田党首)にも歴史的な役割があったと思います。
 結果日本では小さな政府、規制緩和、行政改革といった改革路線が明確になりました。(と信じたい)
一方ドイツはどうか。一応メルケル女史が新首相になり大連立が発足する運びですが、なんともすっきりしない結末です。シュレーダー氏もメルケル氏も、国民の信任を勝ち取れなかったという意味でほ全政党が敗者のようです。ただ一党、東独の旧共産党系の流れをくむ怨念政党と呼ばれるPDSを除いては・・・もう一つ明らかな敗者は上記を予測できなかったメディアです。(これは日本の週刊誌メディアも同罪)

 ドイツは今日まで日本のような大胆な政治改革を経験せずにきました。
 戦後のドイツの政治制度は戦前のワイマール病、つまりは小党乱立、短命政権、頻繁な議会解散、左右勢力の伸長など政党政治の悪夢を防ぐために、大政党有利の政治制度をつくりました。また州知事の権限を強くし、首相の意思決定に対する拒否権を持たせました。この制度は戦後奇跡のようにうまく機能し、冷戦下での安定した経済成長をドイツにもたらせました。
 そこに小さな風穴をあけたのが、84年の「緑の党」の登場です。一つのスローガン、主張により国家に影響を与えようというある種の意見政党の登場です。最近ではこれに怨念政党PDSが加わり、ドイツは再び少数分立の時代を迎えたようです。

これはショッキングなことです。ナチスドイツを防ぐための安定した相互牽制の政治システムが、再び機能不全になりかねません。
 ここで意見が集約されず機能不全が進み、歴史の女神が立ち去り歴史の空白が生じれば、それを取り戻すために、再び「強烈なリーダー」による支配を求める精神が、ドイツに生まれるかもしれないからです。ビスマルク、ヒトラー・・・・歴史は繰り返すものなのかどうか、トルコやポーランドなどの周辺国では不安がよぎるようです。

日本で次の大きな政治決着は年金改革と増税、外交をめぐるものです。小選挙区制度がいいことは、独裁が難しくあっという間にオセロで言う逆転が起こりかねない点にあります。その逆転の可能性を、さすがに今すべての政治家が身にしみてわかっていると思います。
私たちは変化を、勝敗を恐れずなるべく毎回明確な白黒を意思表示し、当面歴史の女神に日本に魅了されていだだきたい、と願います。

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