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Build-Able=concentプロジェクトの核心

2002/01/10
takibiとconcent

年初よりWeb制作の新しいプロジェクト「Concent」の中核の言葉を考えているのですが、今のところBuild-Ability(ビルダビリティ)という言葉が一番ぴったりきています。
Usability(どのユーザーにとっても使いやすい)という言葉が今いっせいを風靡していますが、この言葉の裏側にあるのが作る側が気持ちよく、きちんと仕事ができるフローをつくること、ではないかと思うのです。「Concentプロジェクト」の売りはUsabilityのよさですが、正直に言えば僕は「だれにでもきちんと読める」というコンセプトには・・・・あまり心動かされません。苦労しても読むべきやつが読めばいいんです。Utilizablilityという言葉には、苦労した人間が満足する、というニュアンスをすこし感じますね。難しい言葉ですが、こちらのほうが好きですね。

ところで。UsabilityにせよUtilizablilityにせよ、その対概念=作る側の最適化がいると思うのです。
Buildabilityは「構築可能性」という言葉です。今Webの仕事というのは納期が決まっていて、その締め切りにあわせてとても複雑な事を一気に集中して行う仕組みになっています。これは僕が思うには、システム業界の慣習からきているのではないでしょうか。システムというのは年度が決まっていて3月末納品ということになれば、その最期にものすごい負荷をかけて仕事を行います。しかし考えてみるとWebというのはいつでも更新可能で、見る側にとっても、急にボリュームが増えるよりもだんだん充実していくほうが、見やすいものです。作る側は新しくページを作るたびに、ユーザーがどのようにそのサイトを利用するかがわかり、そのフィードバック結果を更なる更新のときにうまくつかえます。ようするにだんだんに充実していくということは、見る側にとっても作る側にとってもメリットが大きいのです。

もう一つWeb制作の今の業界の現状を見て厳しい事をいいますと、Webを作るときにいったいコンサルがいるのか?ということがあります。自分がコンサルタントをしていて、コンサルの悪口を言ってはいけませんが(笑)、日本の企業で(欧米でもそうですが)戦略というのは、ワンマン会社でトップ自らが行うか、あるいは、経営企画室みたいなところが戦略つくりをして、現場からは「はぁ?」と疑問に思われているケースがほとんどではないでしょうか。
 Webの現場、その権限やミッション、立ち位置はそこでいう「戦略」とは(年齢的にも)ほど遠いものがあります。戦略=考える人と、現場=動く人の溝は日本の会社内においてものすごく大きいのです。ですからWeb制作・運営自体の「クローズド戦略」は必要ですが、会社全体を見回したような大戦略は、言ってみれば接近戦で長槍を振りかざすようなもので、作業の中ではあまり役に立ちません。
 Web業界はデザイナーやシステムエンジニアが出身の地味な、あるいは着実な、あるいは時折お洒落な会社群と、もともと上場を目指していて、このコンサルが多い会社の二群に別れます。(だいたい前者は黒字で後者が赤字です)
 仕事の受注の時には役割を果たすと思われ、実際にそのような使い方をされていまコンサルは口が達者と思われているので口聞き役かあるいは伝達役として使われています。
一方デザイナーやエンジニアたち、ようするに現場の専門職たちは会社経営や給料や・・・・目の前の仕事以外の、全ての事には疎くコミュニケーション能力が低いと思われ、あるいはそちらのほうが楽という事もあるのでしょうが、遮眼帯をかけてでもいる人が多いようです。
しかしもっとも大事なのはその間にあって現場的な運営・制作のマネジメントがきちんとしている事であり、Webの状況に応じて仕事に適するデザイナーを選んだり、あるいはコンサルが必要な場合は・・・・・たまにコンサル的な物言をしたり、あるいはそれなりの外部コンサルを連れてくる、というフレキシブルな機能ではないでしょうか。
今Web制作のスキルセットはまた標準化されておらず、効率かもされておらず、おもわぬボトルネックがいたるところにある地雷原のようなものです。いきおい仕事は「コンサルがはるかかなたの山稜に向けて白線を引いた目の前の地雷原の上をあるくデザイナー(ゴールの門限はあと3日)」という感じでしょうか。
そうではなくて、白線を5メートル先に引いて、そこに安全な石をおいて、次に10メートル先に白線を書いてみて、そのさきに石を、というようなステップバイステップで仕事を進めていきませんか?ということです。

コンサルについてややネガティブな意見をのべましたが、しかしこれはクライアントサイドやあるいはオールドエコノミー企業経営のなかでのWebの有用性や重要性がより高まるにつれて数年後は大きく状況変ると思います。日本でも経営者年齢が下がり,クライアントの中で考える人と動く人が重なってくる、ということは十分に考えられると思うのです。だからそのうちにこの業界におけるコンサルの役どころも、もっと明確にポジショニングされることでしょう。

最期に僕のイメージなんですが。近代サッカーではディフェンス、オフェンスの役割が流動化して、ある局面ではオフェンスが攻め上り、一方オフェンスは守備に回るというポジションチェンジが必要です。その攻守のバランスが取れたチームがワールドカップを勝ち残ります。できるならば能力の高いプレーヤー同士がなるべく少ないパス交換で、ゴール前までボールを運ぶ、融通無碍、臨機応変のチームがつくれたらなあ、と思っています。

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