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企業ブランドはブランド経営者がつくる

2001/03/26
ブランドと経営

広告業界の常識、プラン、ドゥー、シーから思いついた僕の理論があります。

企業は、自己評価、自己実現、自己表現の3軸の向上を心がけています。
この3つが矛盾なく、一貫しているときにはじめて、企業のブランドは正しい姿勢をとることができるのです。
つまり評価軸、実現の努力、表現の方向性が同じベクトルでなければならないのです。

経営者にとり自己評価をたすける友は、上場会社ならばまずは投資家であり、
インベストファームやバイサイドのアナリストでしょう。
しかし投資家や投資銀行の意見が、全て正しいとは限りません。
きちんとした情報開示のもとで株を購入した株主は、今度は会社をきちんと見守る、あるいは是正を働きかけるという「株主責任」を負うことになります。
こうしたことがよくわかっている投資家の意見は極めて重大だと思います。
(わかってない株主は無視しても結構です)
自己評価の軸として、僕は環境団体や地域社会の役割も重要であると考えます。
なぜなら、投資家は彼の人生やファンドの償還期限に束縛され、ある一定年限でのリターンを求めます。もっと超長期の視点があってもいいのではないか、と僕は思うのです。
昔は子孫の繁栄を願う相続動機が、企業経営に長期的な視点をもたらしました。
しかし、今日企業は家業的な性質からなるべく脱して、近代的な会社を目指すべき時期です。(特に日本において)
ですから、経営に超長期的の視点を導入するために、環境団体や地域社会を考える意義があると思うのです。

自己実現を助ける友は、コンサルタントファームです。
彼らは会社のマネージャーや職員のなかに深く入り込み、その課題を指摘します。
経営者にすべての情報が集まっているとは限りません。「ネガティブ情報を隠してなんとか解決し、解決後に上司に報告を行う」というのがこれまでの日本の中期管理職のビヘイビア(態度)でした。
しかし、これにはさまざまな理由があります。
まず、「ネガティブ情報をそのまま上司にあげると、自分に解決能力がないということを示してしまうのではないか?」という恐れがあります。
また組織固有の問題がそこに隠されていたとして、上に告げる内容がその組織を傷つけ、組織の縮小につながることを恐れる心理が働きます。いわゆる組織の病理現象です。
組織と人間関係の制約にはさまれて、企業的・経営的な正論はなかなか通らない、という場合が多いのです。
そこでコンサルの出番です。多くの人がすでになんとなくわかっている課題を、外部の目から、外部の力(例えば株主のプレッシャー)を借りて行います。
コンサルは時として、インベストファームと競合します。
コンサルが企業内部、あるいは「提携」により主に「事業」という領域での解決を目指すのに対して、インベストファームは「合併・買収」を通じて外科手術的に外からこれを行おう、とするからです。
経営者にはコンサルがついて社内改革を支援し、敵対経営者にはインベストメントバンクがついて「外科手術」のチャンスをうかがう。そうした競合がおきる場合もあるのです。

最後になりますが、自己表現を助ける友はクリエイティブファームです。
経営者の大きな役割として企業の「宣伝塔」という役割があります。
これほどに情報が氾濫する社会ですから、経営者の持つビジョン、指し示すドメイン、卓越への力や意思は、むしろ社内のほうが伝わりにくいのかもしれません。
経営者は、企業の中でもっとも高い視点を持ち、その企業がどこまで自分を拡大していいのか、その稜線を示すことができます。
彼以外の社員の、何人もが描く稜線も、立ち位置の高度が低いという理由において、経営者の描く稜線よりは必ず低いのです。
ですから経営者にはその高さを生かした大胆さや剛毅さが求められます。
「ここまで高く大きな稜線をおまえたち、登れるのか?登ってみろ!」といいつのる気迫です。
また、日本では会社・大学・官僚組織は旧来の組織が岩盤のごとく硬く、
すぐれた経営者であってもこの改革は容易ではありません。
ビジョンやドメインや意思や気迫が、生活者にも取引先にも従業員にも同時に伝わること。これがゆっくりとではあっても固陋たる岩盤を動かす知恵だと思います。
その情報の伝え方は、なにも広報や宣伝だけとは限りません。
新規事業、新しいサービス、料金体系、画期的な商品。
企業が示すべき稜線としては、むしろ実業に近いリアリティがあったほうがニュースバリューが大きいのです。
宣伝や広報は、そうした革新(イノベーション)の意味や価値を伝えるツール(道具)である、と位置づけるべきでしょう。
そしてクリエイティブファームは抽象的な思考力によってこの意味や価値を、単純明快なメッセージにおき変えて、その商品やサービスを知らない人にまで伝える役割を担うのです。

これからの社会で、経営リーダー個人の果たすべき役割と責任はこれまで以上に拡大すると思います。
彼自身のための努力がそのまま、組織の努力と成果に血肉化される。
そんな力量を持ったリーダーが、待ち望まれていると思います。
インベストファームとコンサルファームとクリエイティブファーム。
いってみれば「桃太郎」話における雉と犬とサル。
この3者を貴重で重要な友人として、21世紀の企業リーダーは積極果敢に自己評価、自己実現、自己表現を行っていただきたいと、心より願っています。

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